続!寒暖差での頭痛やヒートショック、呼吸器へ及ぼす体への悪影響。

2. 血管の急激な伸縮と「気象病・頭痛」の発生
気温の急激な変化は、ダイレクトに血圧の変動や局所の血流障害を引き起こします。特に多くの人を悩ませるのが、寒暖差に伴う「頭痛」や「めまい」です。
寒暖差頭痛の2大タイプ
寒暖差によって引き起こされる頭痛は、主にそのメカニズムによって2つのタイプに分類されます。
① 緊張型頭痛(寒冷による筋肉の緊張)
暖かい場所から急に寒い場所へ移動すると、身体は熱を逃がさないために交感神経を一気に高め、血管を収縮させます。これにより、首や肩まわりの筋肉(僧帽筋や頭半棘筋など)が硬直します。筋肉の持続的な緊張は血流を悪化させ、乳酸などの疲労物質を溜め込み、後頭部から頭全体が締め付けられるような重い痛み(緊張型頭痛)を誘発します。
② 片頭痛(温暖による血管の拡張)
逆に、寒い場所から暖かい部屋に入ったときや、春先の急な気温上昇時には、収縮していた血管が急激に拡張します。脳の血管が急に広がると、その周囲を走る「三叉神経(さんさしんけい)」という大きな神経が刺激を受け、炎症物質が放出されます。これが、ズキズキと脈打つような激しい「片頭痛」の原因となります。
また、気温の変化は「気圧の変化」を伴うことが多く、内耳(耳の奥にある気圧センサー)がこれを感知して脳に過剰な信号を送ることで、自律神経の乱れに拍車をかけ、自律神経失調に伴うめまいや耳鳴りを引き起こすことも分かっています。

3. 命に関わる最大の危機「ヒートショック」と心血管リスク
寒暖差がもたらす影響の中で、最も生命に対する危険度が高いのが、心臓や脳の血管に致命的なダメージを与える「ヒートショック」、およびそれに伴う心血管事故です。
血圧の「乱高下」が血管を破壊する
ヒートショックは、室内の温度差(例:暖かい居間から、暖房のない寒い脱衣所や浴室への移動)によって、血圧が激しく乱高下することで起こります。そのプロセスは驚くほど急激です。
- 寒い脱衣所へ移動: 寒冷刺激によって交感神経が刺激され、皮膚表面の末梢血管が瞬時に収縮します。血液の通り道が狭くなるため、血圧は急激に上昇します(心筋梗塞や脳出血のリスク)。
- 熱い湯船に浸かる: お湯の熱さによる刺激で、一時はさらに血圧が上がりますが、身体が温まってくると一転して血管が大きく拡張します。
- 血圧の急降下: 血管が広がると、今度は血圧が一気に急降下します(脳貧血による失神、浴槽内での溺死リスク)。
【注意すべきデータ】
日本の入浴中における急死者数は年間約1万9千人に上ると推計されており、その大部分にこのヒートショック(寒暖差による血圧の乱高下)が関わっていると考えられています。これは交通事故死亡者数を大きく上回る数字です。
また、冬場だけでなく、夏場に「猛暑の屋外(35度以上)」から「冷房の効きすぎた室内(25度以下)」に入った際にも、10度以上の寒暖差によって同様の血管リスク(脳梗塞や狭心症の発作)が生じるため、高齢者や高血圧などの基礎疾患を持つ方は年間を通じて警戒が必要です。

4. 免疫力の低下と「呼吸器への影響」
「寒暖差が激しいと風邪をひきやすい」というのは、経験則だけでなく医学的にも正しい事実です。寒暖差は、私たちの身体を守る免疫システムを2つのルートから弱体化させます。
① 腸管免疫の低下
自律神経は、免疫細胞の約7割が集まる「腸」の働きをコントロールしています。寒暖差によって自律神経が疲弊すると、胃腸の血流が低下し、腸内環境が悪化します。その結果、免疫細胞の活性が下がり、ウイルスや細菌に対する防御力が著しく低下してしまいます。
② 気道粘膜の防御機能低下と「寒暖差アレルギー」
激しい気温差、特に冷たい空気の吸入は、鼻やのどの粘膜にある「線毛(せんもう)」という突起の動きを鈍くします。通常、線毛は異物を体外へ追い出す役割を持っていますが、寒冷刺激でその動きが止まると、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
さらに、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれる寒暖差アレルギーも発症しやすくなります。これはアレルギー物質(花粉やハウスダスト)がないにもかかわらず、鼻の粘膜の血管が寒暖差によって自律神経のコントロールを失い、拡張しすぎることで起こります。
- 主な症状: 透明でサラサラした水のような鼻水、激しいくしゃみ、鼻詰まり
- 特徴: 花粉症と違い、目のかゆみや熱っぽさはほとんど現れません。

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