腰痛分離症について最終回。ストレッチ編。ピンチをチャンスに変え自分の体を見つめていこう!

7. 将来どうなる?「腰椎すべり症」への移行に注意
腰椎分離症をしっかり治さずに放置したり、終末期のまま年齢を重ねたりすると、将来どうなってしまうのでしょうか。
もっとも気をつけなければいけないのが、「腰椎分離すべり症(ようついぶんりすべりしょう)」という病気への移行です。
先ほどのイラストの、下の図(Spondylolisthesis)を見てみてください。 後ろ側の骨のつながりが切れてしまったことで、積み木のように乗っかっていた上の背骨(Body of vertebra)が、お腹側の斜め前の方に向かってズルズルと滑り落ちて(Forward slippage)しまっていますよね。これが「すべり症」です。
すべり症になると何が起きる?
骨が前に滑り出てしまうと、背骨の中を通っている大切な神経の通り道(脊柱管=せきちゅうかん)が狭くなり、神経がギューッと押し潰されてしまいます。
その結果、
- 長い距離を歩くと、足がしびれて痛くて歩けなくなる(少し休むとまた歩けるようになる:間欠性跛行=かんけつせいはこう)
- 足の筋力が落ちて、思うように力が入らなくなる
- ひどい時には、おしっこや便が出にくくなる
といった、日常生活に大きな支障をきたす大人特有の苦しい症状につながることがあります。 中学生の今の段階でしっかり自分の体と向き合い、適切な処置をしておくことは、10年後、20年後の大人の自分に対する最高のプレゼントになるのです。
8. 予防と再発防止のために今日からできること
最後に、まだ分離症になっていない人や、これから部活に復帰しようとしている人が、絶対にやっておくべき予防法を3つ紹介します。
① お風呂上がりの「ストレッチ」を習慣にする
特に念入りに伸ばしてほしいのが、先ほども出てきた「太ももの裏(ハムストリングス)」と「股関節の前側(腸腰筋=ちょうようきん)」です。
ハムストリングスのストレッチ
仰向けに寝転がり、片方の太ももの裏を両手で抱えます。そこから天井に向けて、膝をゆっくりできるところまで伸ばしていきましょう。太ももの裏がジワーッと伸びていれば正解です。左右30秒ずつ、毎日行います。
腸腰筋(太ももの付け根)のストレッチ
大きく一歩、前に足を踏み出して、後ろの足の膝を床につけます。そのまま体重を前下方にぐーっとかけていくと、後ろ側の足の「コマネチライン(付け根の前側)」が伸びるのを感じられるはずです。ここが柔らかくなると、腰を反らさなくても足を後ろに大きく振れるようになります。

② 正しいフォームを身につける(「腰」ではなく「胸」と「股関節」を使う)
体を後ろにそらすとき、本当に「腰の骨」だけでそろうとすると、骨が折れます。 本来、人間の体は、「胸の骨(胸椎=きょうつい)」と「股関節(こかんせつ)」が連動して柔らかく動くことで、綺麗に丸いアーチを作ってそれるようにできています。
練習のとき、指導者やコーチにフォームをチェックしてもらいましょう。
- 野球のバッティングで、骨盤(股関節)が回らずに腰だけをひねってスイングしていないか?
- バレーのスパイクで、お腹を突き出すように腰だけで反っていないか?
「股関節で動く」という感覚をつかむことが、最大の防御になります。
③ 「おかしい」と思ったら絶対に隠さない、我慢しない
これが一番大切かもしれません。 レギュラー争いが激しかったり、大事な大会が近かったりすると、「痛いって言ったら試合に出してもらえなくなるかも……」と、痛みを隠したくなる気持ちは本当によく分かります。
でも、骨が悲鳴を上げているのを無視して出し切った1試合と、その後の数ヶ月、あるいは一生付き合うことになる腰の痛みを天秤にかけてみてください。
早く見つければ見つけるほど、スポーツを休まなければいけない期間は圧倒的に短くて済みます。「なんか今までの筋肉痛と違うな」「2週間以上腰が痛いな」と思ったら、勇気を出して保護者の方や部活の顧問の先生、コーチに伝えてください。
まとめ:ピンチをチャンスに変えよう!
腰椎分離症は、一生懸命スポーツに打ち込んできた証拠とも言えるケガです。がんばりすぎてしまった君の体が、「少し休んで、体を作り直そう!」とサインを出しているのです。
もし分離症だと診断されて運動を休むことになっても、がっかりしすぎる必要はありません。その期間に、
- チームの練習を外からじっくり見て、戦術や仲間の動きを勉強する(頭のレベルアップ)
- ガチガチだった体をストレッチで超一流の柔軟性に生まれ変わらせる(体のレベルアップ)
- 弱いインナーマッスルを鍛え、ブレない体幹を手に入れる(軸のレベルアップ)
というように、復帰したときに「休む前より確実に強くなっている自分」を目指して、できることは無限にあります。
自分の大切な体を守りながら、これからも大好きなスポーツを長く、全力で楽しめるように、まずは今日から自分の腰の声に耳を傾けてみてくださいね!
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